ちょっとしたヴァレンタイン物今回はAliceじゃないのー♪今日はバレンタインデー。 愛するあの人に自分の好きなものを入れたチョコレートをプレゼント。 「フフフ。」 そう考えただけで自然と笑みが溢れてしまう。 両手で包み込めるくらいの小さな闇色の箱に真っ赤なリボンを付けて。 少女は笑顔で黒髪の青年の側へ駆け寄る。 「ハデス!!食べて。」 ハデスと言う名の青年の目の前に小さな箱をつきつける。 一瞬驚きはしたものの、少女に突き付けられた箱を受取り何事もなかったように開けて顔 をしかめる。 「何を・・・入れた・・・?」 「えっとね」 少女はハデスから目を離すと指で数を数えるしぐさをしながら楽しそうに言う。 「またたびでしょ、ねずみでしょ、カツオ節でしょ、マグロとかも入れてみたかな?とに かく私の好きなものいっぱいいれたの!!あっちゃんとチョコレートで固めてあるから安 心してね。」 目を輝かせてハデスに言う少女。 ハデスは溜め息をつくと少女の頭を撫でながら言う。 「味見はしたのか?」 「ううん、だってハデスの為だけに作ったから味見はしてないよ!!」 少女は嬉しそうに言う。 「そうか・・・いいか、ペルセポネ、好きなものを入れれば良いと言う考えは今すぐ棄て ろ」 「ハデスは・・・そういうの・・・嫌い?」 目に涙を溜めてハデスを見上げるペルセポネ。 今にも泣き出してしまいそうだ。 「・・・う゛。いや・・・そんなことは・・・ない・・・と思うぞ?」 「じゃあ食べて!!」 ペルセポネをなだめるために言った言葉が逆に自分の逃げ道をなくす結果となった。 ハデスは闇色の箱からチョコレートじみたものを取り出す。 出すとはっきりしてくる形に目をそらしたくなる。 ねずみと言わんばかりの尻尾がチョコレートから飛び出しビクビクと小刻に痙攣してい る。 他にも、マグロの赤身がチラリとチョコレートの表面から顔を出している。 コレを食べろと・・・? 臭いも生臭いではすまされない。 ペルセポネを見る。 真剣な表情でハデスを見ている。 逃げられない・・・冷や汗が背中を伝うなか・・・ハデスは腹を決めた。 もともと死んだ人間だからもう死ぬことはないだろう。 だが、コレは生きた人間が食べたらどうなっていたのだろう・・・? 意識が遠のいていく中ハデスは綺麗な花畑を見たそうな・・・。 おわり? ジャンル別一覧
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